司法がどのような判断を下すのかはわからない。だが,ナップスターを使用している人たちは,メタリカへの判断も,音楽産業への判断もついている。だが,行き着く未来を予想できないので,うかつに口をはさめないでいる。
メタリカがナップスター社を提訴したことで,一部のファンは激怒し,自分の持っているバンドの商品を,すべてイーベイに売りに出した。オフスプリングなどのミュージシャンも,法的措置の選択を検討しているという。メタリカに訴えられたインディアナ大学とエール大学は,ナップスターの使用をブロックしている。だが,ナップスター社に,著作権侵害の責任はないかもしれない,という法律専門家もいる。
◇では,誰に責任があるんだ?◇「私はあなたの顔面をトンカチでぶん殴ることはできる。だが,そのとき,トンカチにはなんの責任もない。もちろん,トンカチを作った人にも,責任なんてない」◇問題は,違法行為を知りながらナップスターを使い続けているユーザーだ◇なら,ミュージシャンはなぜユーザーを訴えなかったのか。いや,ナップスターを訴えることは,ユーザーを訴えることと同義,なのか?
◇ナップスターのインターフェイスは,ゲームをしているような感覚に陥る。ゲームの中で人を殺しても殺人罪には問われない。ナップスターで得た曲はそれと同様の感じを与える◇だが,多くの人は音楽を愛している。CDを買うことを拒絶してなどいない◇では,なぜ訴える?◇個々のパソコンがシェア・サーバーとして機能し,私たちは新しい繋がりを手に入れた。MP3はその媒体だったに過ぎない。MP3が媒体となったのは,音楽が愛されていた証拠とも云える◇音楽を売る,ということは,数年後には今とは全然違う形態をとっているだろう。今はまだ誰もそれを予想できない◇ミュージシャンを貶めるファンはいない。ファンは,思っているよりも忠実なものだ。それはワイヤードでも変わらない◇なら,なぜ訴えた?
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